犬パラインフルエンザウイルス感染症

今回は犬の感染症シリーズ第五回。
犬の感染症~犬パラインフルエンザウイルス感染症~について解説します。

犬パラインフルエンザウイルス感染症


 

犬の主な感染症の一つである犬パラインフルエンザ感染症は、犬アデノウイルス2型と同様に、犬の風邪の症状を示す『ケンネルコフ』の原因です。パラインフルエンザウイルスもアデノウイルス2型のどちらの風邪も人や猫に感染することはありません。
〇 犬ジステンパーウイルス感染症
〇 犬パルボウイルス感染症
〇 犬アデノウイルス2型ウイルス感染症
〇 犬伝染性肝炎

〇 原因は?

原因は犬パラインフルエンザウイルス(Canine Parainfluenzavirus:CPIV)の感染です。人のインフルエンザウイルスとは全く別の種類のウイルスです。

犬パラインフルエンザウイルスは、感染動物の咳、くしゃみ、鼻水といった分泌物にウイルスが排出され、感染動物と直接接触したり飛沫を経口、経鼻的に摂取して感染します。

呼吸器症状を示す他の細菌やウイルスとの二次感染を同時に引き起こすこともあります。

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〇 症状は?

アデノウイルス2型感染症とともに『ケンネルコフ』と呼ばれ、主な症状は風邪の症状です。

仔犬のころに感染することが多く、咳やくしゃみ、鼻水、発熱といった典型的な呼吸器症状が特徴です。あまり重症になることはありませんが、がんこな咳が特徴的です。まれに肺炎になることもあります。

アデノウイルス2型などと同時に感染することも多く、その場合は重症化するリスクが高まります。

▪ 呼吸器症状
▪ 咳
▪ くしゃみ
▪ 鼻水

〇 診断は?

仔犬の典型的な呼吸器症状や飼育環境、他に症状がある犬との接触がなかったかなどの稟告によってで仮診断を行います。血液検査や、胸部レントゲン検査で肺炎の有無を確認します。

外部の検査センターによって行う、ウイルスの抗体検査も可能ですが、あまり診断に用いることはありません。

〇 治療は?

治療は、アデノウイルス2型感染症と同じです。呼吸器症状に対してネブライザーを行います。

また他の細菌感染による二次感染に対して、抗生物質を使用します。

ウイルス自体に効果のある薬はなく、対症療法を行います。

 


犬パラインフルエンザウイルス感染症はワクチン接種を行うことにより予防できる病気です。特に子犬の時期に感染することが多いため、適切なワクチン接種を行ってください。